美しい商品ページが、ぎこちない購入体験につながることもあります。
コートの見た目は申し分なく、サイズも合っていそうです。ところが送料が表示され、到着予定がはっきりしなくなり、あるいは決済が失敗します。お客様は離れていきます。そして店舗側で出てくる対策は、ライフスタイル写真の撮り直しです。
その写真は撮る価値があるかもしれません。ただしその前に、購入の流れのどこに手を入れるべきかを確かめましょう。
完了しなかった購入は、観察された出来事です。その原因を突き止めるには、たいていもう一手間かかります。
不確かな部分を特定する
商品を閲覧した訪問者、カートに追加したお客様、チェックアウトを開始した人、完了した注文を分けて見ます。定義、集計期間、チャネルはそろえておきます。放棄されたチェックアウトの一覧は、購入を検討したすべての人の一覧ではありません。また、合計件数だけでは、誰がなぜ途中でやめたのかは分かりません。
実際の設定で手に入る証拠を使いましょう。Shopifyは、新しいカゴ落ち自動化機能についての現行ガイドで、チェックアウトのタイムラインから決済イベントを確認する方法を説明しています。決済の失敗は、それ自体として調べるべきものです。自動的に「もっと強い感情訴求を」という制作依頼に変えるべきではありません。
ここで架空の商品を考えてみます。スレートグレーの犬用コートで、サイズは3種類、送料は配送先に応じて別途計算されます。社内で見直したところ、商品ページには発送までの目安が書かれている一方、利用できる配送サービスはチェックアウトまで進まないと分からない、という点が見つかったとします。
これは特定された情報の抜けです。この抜けが、完了しなかったすべてのチェックアウトの原因だという証明にはなりません。
この区別が、次の判断の質を守ります。説明が不十分だから補い、そのうえで何が起きるかを見る。不確かなことを成功談に書き換える必要はありません。
事実と推測は別の列に書く
役に立つ見直しメモは、ごく短くてかまいません。
| 実際に手元にある証拠 | まだ答えの出ていない問い | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 決済イベントに失敗が記録されている | この決済を妨げたものは何か | 記録されたメッセージと決済設定を確認する |
| テストで購入の流れをたどると、送料が後半で表示される | その送料は買い手にとって想定外だったか | それより前の送料の説明と、お客様からの質問を見直す |
| お客様から、コートがいつ届くかという質問がある | どの到着時期の案内が分かりにくかったのか | 商品説明、配送オプション、注文関連の通知を突き合わせる |
| チェックアウトが未完了のまま残っている | その人は離脱したのか、保留したのか、別の方法で戻ってきたのか | 動機を決めつけずに、確認できる記録を見直す |

編集部オリジナルのフレームワークです。診断のための編集上の枠組みであり、定義と回復の設定はご自身のストアのものを使ってください。
1列目は、同僚から異論が出ても揺るがない内容であるべきです。「送料が高すぎる」は、裏付けが得られるまでは2列目に入れます。「この配送先ではX円の送料が表示された」は1列目です。
該当する商品バリエーションと配送先で、スマートフォンから実際に購入の流れをたどってみましょう。合計金額、配送情報、選んだサイズ、支払い方法がそれぞれどこで明確になるかを記録します。テストにはストアに適した方法を使ってください。目的は購入の流れを確認することであり、説明のつかない注文でレポートを汚すことではありません。
「回復済み」を正確に読む
Shopifyの新しい自動化機能のドキュメントによれば、メールが送信された後、お客様がメールのリンクから注文を完了した場合も、それとは関係なく自分で完了した場合も、チェックアウトは回復済みとして扱われることがあります。つまり、このステータスだけでは、メッセージが購入のきっかけになったとは言えません。
ここには3つの別々の問いがあります。注文は完了したのか。レポート上、どの接点に成果が割り当てられたのか。そして、その施策がなくても注文は発生していたのか。
Shopifyのマーケティングレポートは、ファーストクリック、ラストクリック、線形配分など、複数のアトリビューションモデルに対応しています。これらは定められたルールに沿って成果を配分するものです。実務上の意味は、実際の購入は何も変わらなくても、ルールを変えるだけでレポートの見え方が変わりうるということです。アトリビューションレポートは記録された接点についての有用な証拠ですが、売上の上乗せ分を検証する対照実験ではありません。
もっともな反論として、小規模な店舗では厳密な実験をするだけの件数がない、という声もあるでしょう。だからといって観察が無意味になるわけではありません。むしろ、慎重な言葉選びの価値が高まります。分かっているのがそこまでなら、「この変更の後、完了率が上がった」と書きましょう。あわせて、流入、在庫状況、価格、プロモーションなど、結果に影響しうる変化も記録しておきます。
次の変更は具体的に
記録された問題を1つ選び、担当者を決めます。誤解を招く到着時期の表記には、物流担当の知見を踏まえた修正が必要です。分かりにくいサイズ選択には、商品ページの修正が必要です。弱い写真には、より良い写真が必要です。
回復メッセージは、途中で止まった判断にお客様が戻るきっかけになりえます。ワークフローを変える前に、ストアで実際に使っている回復の仕組みと送信先の設定を確認してください。離脱のたびに割引を出すことを、決まった対応にするのは避けましょう。
次の制作依頼は、それでも撮影になるかもしれません。ただしその出発点は、見つかったお客様の疑問であるべきです。チェックアウトの数字の説明を写真に求めるところから始めるべきではありません。
