「胸囲:48 cm」
この文を訳すのは簡単です。難しいのは判断のほうです。48 cmは犬の体のサイズなのか、仕上がった服の寸法なのか、それとも伸ばした状態の寸法なのか。胸まわりを一周測ったものなのか、平置きした生地の幅を測ったものなのか。お客様はゆとりを足すべきなのか、それとも推奨範囲にすでに含まれているのか。
「胸囲」を別の言語に置き換えても、これらの疑問は一つも解消されません。
国境を越えてペットウェアを販売する事業者にとって、ローカライズの出発点は、お客様が正しく選ぶために必要な情報です。言語は、その根底にある意味を明確にしてからの話です。
ラベルより先に、寸法を翻訳する
3サイズで展開するセージグリーンの犬用コートを想定してみます。これは架空の例であり、サイズ選びの推奨ではありません。商品チームは中間サイズのサンプルについて、仕上がりの胸囲48 cm、背丈32 cm、仕上がりの首まわり36 cmと記録しています。これらの数値は、定められた測り方にもとづく服の寸法です。どの犬が着るべきかを示すものではありません。
海外でも通用する仕様書では、この区別を保ちます。
| サンプルの採寸項目 | 基準値 | 換算表示 |
|---|---|---|
| 仕上がりの胸囲(服の寸法) | 48 cm | 18.9 in |
| 背丈(記録した測定位置で計測) | 32 cm | 12.6 in |
| 仕上がりの首まわり(伸ばさない状態) | 36 cm | 14.2 in |
サンプルの寸法は一例で、インチは小数点以下1桁に丸めています。これらは服の寸法であり、推奨する体のサイズ範囲ではありません。
換算には1インチ=2.54センチメートルを使っています。基準となる寸法は1セットだけ持ち、もう一方の単位はそこから算出します。そうすれば、あとから修正しても、内容の食い違う2つのサイズ表が残ることはありません。
実際の出品ページには、事業者が確認したサイズ選びの案内も必要です。測るべき体の部位、測定位置、想定しているサイズ感、サイズの中間にあたる場合の選び方などです。一律のゆとり量を作り出したり、犬種名でその作業を代用したりしてはいけません。同じ犬種とされる2頭でも、必要なサイズが違うことはあります。
インチに換算すれば、数値は読みやすくなります。測り方がわかって初めて、その数値は役に立ちます。

オリジナルの編集フレームワークです。単位を換算しても、サイズが合うことの裏づけにはなりません。服そのものと測り方を確認してください。
購入にまつわる疑問もローカライズする
同じ規律は、サイズ以外にも当てはまります。一つのSKUから始めて、その商品をめぐる判断を書き出してみましょう。
購入者は素材を把握し、お手入れ方法を理解できるでしょうか。「発送」とは、制作が終わる日なのか、荷物が配送業者に引き渡される日なのか。お届け予定は、はっきりした日付の範囲で示されているでしょうか。購入者は、届け先と購入する商品に該当する返品方法を見つけられるでしょうか。
これらはコンテンツの問題ですが、注文の発送を担当する人たちとの連携が欠かせません。定義されていない制作の約束は、翻訳者には解決できません。
3つの層を分けて考えます。商品の事実はSKUにひもづけたままにします。見せ方は相手に合わせて変えます。取引条件は、実際の市場ごとの設定に従います。コートがポリエステル混紡なら、その事実はどの言語でも変わってはいけません。市場によってその服の呼び方が違うなら、ラベルは変えてかまいません。配送ルートが変わるなら、国内のお届け目安を流用せず、そのルートに合った配送情報にしなければなりません。
Shopifyのローカライズに関するガイダンスでは、翻訳がない部分はストアのメイン言語で表示されること、言語の対応はストアとテーマの設定によって決まることが説明されています。つまり、ある言語を公開することと、その言語で購入までの流れ全体を確認することは別物です。
言語が同じでも、市場は同じではない
同じ言語を使う2つの地域でも、季節、配送にかかる日数、商品の取り扱い状況、なじみのある用語は異なることがあります。それらは確認すべき事項として扱い、国ごとの固定観念をもとにキャンペーンを組み立てないようにしましょう。
ShopifyのTranslate & Adaptのドキュメントでは、同じ言語内での調整を含む市場ごとのコンテンツについて説明されており、対応していないコンテンツの種類があることにも触れています。ストアで実際に使っているリソース、特に画像に埋め込まれた文字や、ほかのアプリが提供するコンテンツを確認してください。
商品説明では採寸図の説明が完璧に翻訳されていても、画像そのものには古いラベルが残っていることがあります。サイズの選択欄とサイズ表で、呼び方が違っている場合もあります。翻訳のスプレッドシートだけでなく、スマートフォンで実際に表示されたページを確認しましょう。
最初のリリースは、管理できる範囲にとどめる
販売先ごとにカタログ全体を書き直すことには、現実的な反対意見もあります。小さなチームでは維持しきれないほどのバージョンが生まれかねないからです。まずは1商品、1市場から始めましょう。コレクションから商品ページ、サイズ選択、カート、チェックアウト、注文に関する連絡までの流れを確認します。その言語に堪能な人に、商品と購入条件を自分の言葉で説明し直してもらいます。
私たちのプロジェクトであるTuftyでローカライズしたキャンペーンのコンセプトを検討する場合も、AIで生成したペットの着せ替え画像は、あくまでイメージとして扱います。サイズ感のデモンストレーションや採寸図は、実際の服と確認済みの測り方にもとづいていなければなりません。
次の翻訳を承認する前に、一歩踏み込んだ問いを立ててみてください。お客様はこのページだけで、あなたが商品を手に取ったときと同じように、根拠のある選択ができるでしょうか。
